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【リ協コラム】突撃現場撮影消防設備点検

  
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【リ協コラム】突撃現場撮影消防設備点検

今回は前回に引き続きリ協ホームページ委員会(以下、HP委員会)で行いました現場突撃・動画撮影の様子をお届けいたします。

 

伺ったのは、点在する明治~昭和の建築が文化の香りを醸しだす港・横浜、本町ストリート。通り面したマンションで、この日行われたのは、消防設備の点検です。点検を担うのは、“暮らしを守る 未来を守る 防災のトータルプランナー”株式会社ベストンです。「消防設備点検」皆さんもご存じですよね。ちょくちょくお知らせの張り紙を目にしたり、「点検でーす」といって作業服姿の人たちが何やらやってきては立ち去っていくアレです。

 

撮影の朝、揃いの衣装でベストンのスタッフたちが集まってきます。点検員は総勢6名。点検日数は3日間となっています。21階建て135戸のマンション(共同住宅と店舗の複合用途)の消防設備点検ともなると、それなりに人員が必要です。点検設備が多様で数も多いことや、報知器設備など発信場所と受信場所の2ヶ所に人員を配置する必要があることなどが、必要人員が増える要因でしょう。また、店舗の点検には、立入りに時間等の制限がある場合があり、人手や時間がかかることも予想されます。

点検前、ミーティングでスケジュールや配置の確認を行って、いざ点検スタートです。

<朝のベストン>

<点検前のミーティング>

・煙感知器

消防設備点検と聞いた時、先端にカップのついたこの棒をイメージする方も多いのではないでしょうか。その名も「煙感知器用ガス式試験器」。文字通り煙感知器を点検する道具です。カップの中にある穴の開いたレンコンのような部分を感知器に押し当てると中からガスが出る仕組みになっています。ガスはカップの下に設置した専用の小さなガスボンベから出されます。このガスに感知器が反応して出した信号を、1階の管理室内にある警報受信機でちゃんと受信されるかを試験していきます。

<感知器点検状況>

<試験カップ内噴射状況>

・防排煙設備

高層マンションやホテルなどでよくみられる内廊下は、外部に接する部分が少なく煙が充満しやすい構造をしています。そこで重要になるのが「防煙設備」や「排煙設備」です。下の写真はEVホールに設けられた排煙設備です。右側の小さな操作ボタンを押すと、給気口と排煙口が開きファンが回り始めます。同時に、排煙設備が作動したという信号が1階の管理室に送られます。右上の扉が排煙口で、屋上のファンとつながっていて、煙突の様に煙を吸い上げ外に排出します。左下の格子状の扉は給気口で、EVホール内に空気を送りこむことで円滑な排煙が行われる仕組みとなっています。

点検時、はじめ給気口の2つあるうちの1つのコックが開きませんでしたが、何度か開け閉めするうちにスムースに開く様になりました。ほとんど動かすことのない設備は、たまに動かすことが必要で、点検の重要性を改めて感じる一幕です。

<排煙設備>

<排煙設備作動時>

・屋内消火栓

続いて点検を行ったのは屋内消火栓です。屋内消火栓の点検自体は、外観の目視点検でしたが、この消火栓、消防隊が到着するまでの間、居住者等が初期の消火活動に使用するものとして設置されています。火災時に、この屋内消火栓を操作し消火活動をする自信はありますか?一応、扉の内側に消火栓の使い方が書いてあります。読んでみると、この消火栓は2人以上で操作するもので、1人はホースを伸ばし消火に向かい、もう1人は上の赤い非常ボタンを押しバルブを開けるとなっています。本来ならば、消火訓練で1度実際に操作することが望ましいと思います。しかし、この説明書きを予め見ておくだけでも、実際に使う場面があった際の心構えとして大いに役に立つのではないでしょうか。

<屋内消火栓設備>

<扉内側に貼られた消火栓操作方法イラスト>

・点検報告のスピード化

㈱ベストンでは、現場で点検結果をタブレットに記入すると、本社にいるスタッフとその情報が共有されるシステム(業務情報同期システム)を導入しています。これにより、現地での点検が終わるとすぐに報告書ができることになります。点検結果を迅速に提出することは、問題点があった場合、解決に向けて素早く対応できることにつながります。安全にかかわる消防設備点検において、とても大切なことだと思います。

 

消防設備点検は、頻度が高く身近な存在です。しかし、実際にどのように点検が行われるのか、消防設備がどのように作動するのかはあまり知られていないような気がします。コラムでは3種類の消防設備点検の紹介となりましたが、動画ではより多くの点検風景や設備の作動状況をお伝えしております。是非ご覧ください。

今回の撮影では、前回の反省を踏まえ、ピンマイクおよびマイク用防風材(マイクにつけるホワホワしたもの)を導入しています。また、助っ人カメラマンのカメラワークによる映像も必見です。

 

 

この度の現場突撃でも、マンション管理組合に動画撮影を快くお許し頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。また、現場リーダーの及川さんをはじめとする株式会社ベストンの皆様にも多大なご協力を賜りました。ありがとうございました。

<撮影終了後、 記念撮影リーダーの及川氏・㈱ベストン(右から2番目)とHP委員会>

 

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