【大規模修繕工事】タイルの浮き・剥離原因とタイル貼り施工
タイルの浮き・剥離原因について
外壁がタイル仕上げとなっているマンションでは、1回目の大規模修繕工事で足場を掛けて調査をおこなう際に、経年劣化とは言い難い広範囲におけるタイルの浮きが確認されることが多く報告されている。
補修段階で不良(浮き)タイルを撤去してみると、工具で少し触れただけで剥離するものや手で簡単に撤去できてしまうものがある。これらは発生場所によっては、タイル剥落による人身事故へと発展する危険性をともなっているものも少なくない。
【タイルの浮きや剥離の主な原因】
1)下地調整モルタルの硬化不良(下地コンクリートへの下地処理不足によるドライアウト)による接着強度不足
2)下地調整モルタルやタイル張付けモルタルの塗り厚不足によるモルタル層内の接着強度不足
3)コンクリート躯体面の事前目荒らし等の下地処理の未実施
4)伸縮調整用タイル目地の未設置や誤った設置場所
[下地処理]
タイル張替えをおこなう前には、下地調整モルタル(直貼りの場合はタイル接着モルタル)の接着強度を上げるために下地コンクリート表面の目粗しを十分におこない、下地処理として吸水防止材を施工面に塗布するなど適切な下地処理をおこなう。
[タイル施工]
1)下地調整モルタルやタイル接着モルタルの所定の塗り厚を確保する。
2)タイル張付後、タイル裏足に貼付けモルタルが十分にくい込むようタイル
表面から叩き込みをおこなう。
3) プロセス検査の実施(サンプリングで張替え箇所数カ所を選定し、叩き込み後にタイルを剥がし、タイル裏面へのモルタルのくい込み状況を確認し、適切に施工が実施されていることを確認する。
動画タイルユニット貼り施工
■マンション外壁調査診断結果
集合住宅 8棟 鉄筋コンクリート造 タイル張り仕上げ(現場施工)築10年目の調査診断で剥離寸前のタイルが発見されたのち、大規模修繕工事で足場を架けてタイルの打診調査を実施したところ、一部の階のベランダの手摺壁に広い範囲でタイルの浮きが確認された。
■タイルユニット貼り施工について
・張替えるために、不良タイルを撤去
・タイル用の接着モルタルと下地コンクリートの接着性が全く無いため、剥離作業時や使用している電動工具の振動で、タイルが剥離してしまう状態であった。これまで辛うじて剥落を免れていたいた。新築施工時に、下地コンクリートへの目粗しなどの下地処理不足や下地調整モルタルの薄塗りによる強度不足など、その原因の多くは施工時の問題に起因するものと考えられる。